かぐや姫の物語

かぐや姫の物語、改めてみたので感想を箇条書きに。

・絵が筆の線のようなタッチで、本当に絵本が動いているような感じを受けた。

かぐや姫の名付けの時の宴会で悲しみのあまり、山に逃げた際の演出は圧巻だった。

・とにかく、日本の四季折々の自然(歌にもあるけど、鳥、虫、獣、草木花)の姿を、物語の中に数多く描写しており、自分たちの生きている世界はこんなにも美しいんだという高畑監督の思いが込められているような気がした。ぽんぽことかでもそうだけど、自然を本当に愛してるんだと思う。

・翁、嫗役(地井武男宮本信子)の演技が良かった。声から滲み出るかぐや姫への愛情が、言葉の端々にひしひしと感じられた。

かぐや姫が、悲しみも悩みもない月で生きるよりも、地上で獣や草木のように生活し生きたかった、生きる手応えを感じたかった、という言葉が印象的だった。悲しみや不安がない、一見幸せに感じるけど、それは生きるということではない、そういった穢れもひっくるめて混ざり合って混沌としているのが、生きるということなのだろう。

・だから、なんの不自由のない、だけど鳥籠で飼われているような都での生活は月のようで彼女には合わなかったのだろう。あのまま野山で過ごしていた方が、彼女が一番幸せだったし、また彼女が月へ助けを呼ぶこともなかっただろうから翁たちとずっと一緒にいれたのだと思うと皮肉だなと思う。あれだけ翁はかぐや姫の幸せだけを願っていたのに。

・ストーリーとしては、特に続きを早く見たいってわけでもなかったけど(竹取物語ってみんな内容知っているしね)、日本最古の物語を自分の解釈を通じて、これだけのアニメにした高畑監督はやっぱりすごいのだと思う。